空調:オフィス輻射空調解析(冬季暖房時)

解析の詳細

     

    【解析結果】 ・室内の気流は、最大でも0.5m/sec程度に収まる。(図5,6参照) ※風速0.5m/secを越えると風を体感する。 ・室内の温度は、冬季17~30℃で温度成層化する。居住域では、設計温度(冬季22℃)を下回る。(図8、9、10、11参照) ・ペリメータ付近では、コールドドラフトが発生。これが室内のインテリアゾーンに流れ込むことにより、室内床面付近の温度が低下。(図6、7、8、9参照) ・冷温感指標(PMV)では、居住域において-2~-1程度となり、寒いことを示している。  以上から、輻射空調方式によって、室内の気流が極端に速くなる箇所や大きな温度ムラがなくなる。しかし、暖房時には、床面付近から居住域にかけて設計温度を下回ることから、何らかの対策が必要になる。 

     


    図5 速度分布+速度ベクトル断面図

     


    図6 速度分布+速度ベクトル断面図 窓付近拡大

     


    図7 温度分布断面図

     


    図8 温度分布断面図 窓付近拡大

     


    図9 速度分布パース図

     


    図10 速度分布パース図 FL+1.0m

     


    図11 温度分布パース図

     


    図12 温度分布パース図 FL+1.0m

     


    図13 PMV分布パース図

     


    図14 PMV分布パース図 FL+1.0m

     

     本事例のように、輻射空調方式を利用した建築物において、WindPerfect2015を利用することで、建築物内の気流や温度、PMVによる快適性の状況を把握することが有効であることが確認できた。また、発熱負荷の変更、検討する季節、時間帯の変更をするなど想定するケースの変化に対しても、柔軟に対応することが可能である。

・解析の目的
 近年、オフィスの執務室、教室など人が長時間滞在する空間において、輻射空調の導入が増えつつある。
・これまでの主な空調方式が空調機から直接、執務室内に空調空気を送り、循環させる対流方式であること。
・しかし、この空調方式では、同じ室内においても、温度ムラや空調機からの風が直接当たるなど、滞在者が長時間作業する際の快適性や健康が損なわる可能性が高いこと。
・この欠点を解消するため、エネルギー効率が良く、快適な温熱・作業環境を保つために、輻射を利用した空調方式の導入やその検討が増加傾向。
 本解析事例では、WindPerfect2015を用いて輻射空調方式を導入した室を想定し、冬季における室内の温熱環境やPMVによる快適性を把握し、その有効性を確認することを目的とする。
・解析の内容
【解析モデル・解析条件】
解析モデル・条件は以下の通りである。
(解析空間の大きさ・総格子数)18.0m×10.0m×3.0m、664,232分割 (図1、2参照)
※解析の対象となるモデルはオフィスビルの一室を想定、室の天井部に輻射パネルを設置、窓下には腰壁(高さFL+1.0m)がある。
(解析条件)
・季節:冬季曇天時(外気温度0℃)
・輻射パネルの温度:40℃ (図3参照)
・室内の発熱条件 
内部の発熱は無いものとした。
壁・窓ガラスに貫流負荷を考慮した(壁貫流率0.9W/(㎡・K)、窓ガラス2.6W/(㎡・K)。) 各負荷の設定位置は、それぞれ図4に示す。本解析事例は1200秒(20分間)後の結果である。

 

 なお、冷温感指標(PMV)の算定には、輻射率0.5、相対湿度60%、活動量(met)1.0、外部仕事0Wとし、着衣量(clo)は、1.0とした。PMVは、-3~+3の間の値によって、快適性を評価する指標であり、マイナスの値になるほど寒く、プラスの値になるほど暑いという評価になり、0で中立(寒くも暑くもない)という評価になる。

  • 図1 解析モデルパース図


  • 図2 解析モデル断面図


  • 図3 輻射パネル位置


  • 図4 壁・窓貫流負荷設定位置

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