解析の詳細
【解析結果】
地表面全体の気温に対しては地盤緑化の影響が大きく、上空空気の温度も若干低下する。 壁面緑化高さが低い場合、建物壁面に沿う対流による空気の上昇が抑えられるために建物近傍の風況が若干変化する。 壁面緑化高さが低い場合、地表面の空気温度の低下は少ない。
(1)ケース1-緑化無し:
全体的に温度が高く、上昇流も大きい。 地表1.5mでは、吹き降ろし風の影響のある建物風上側(北側)及び南側では温度の低い領域が見られるが、東側及び西側の地表面で渦の形成の見られる部位では気温が高い。
(2)ケース2 - 地盤緑化のみ
地表1.5mでは、敷地内でフローパターンは基本的にケース1と同様であるが、温度が明らかに1℃程度低い。 地表30mでは更に気温が低く、ケース1とは1.5℃程度の差がつく。
(3)ケース3 - 地盤緑化+壁面緑化 10m
地表1.5mでは、基本的には敷地内でのフローパターンは、ケース1および2と大差がない。 温度が建物周辺でわずかに低いものの地盤緑化のみとほとんど変化はない。 地表30mについては地盤緑化のみとほとんど変化はない。 これは緑化した領域の影響が地表面近傍に限定され、上空に波及しないためである。
(4)ケース4 - 地盤緑化+壁面緑化 50m
敷地内でのフローパターンは、ケース3と若干異なっている。 これは緑化面積が大きく壁面付近に生成するはずの上昇流が抑制されるためと考えられる。 温度においても建物周辺で0.2~0.5℃程度低い領域が見られ、緑化面積が大きいことの影響が観察される。 地表30mでも同様の傾向であり、建物周辺で0.2~0.5℃程度低い領域が見られる。
①敷地面積:21280㎡
②建築面積:6370㎡
③述床面積:145100㎡
④建蔽率:29.9%
⑤容積率:681.9%
⑥空地率:70.1%
⑦用途地域:商業地域
図1 解析対象地区 地図
図2 解析ケース1
図3 解析ケース2
図4 解析ケース3
図5 解析ケース4
街区・建物の当該部位に当たる日射を発熱条件として考慮し、屋外空間における放射伝熱を考え、地表面や建物表面における放射熱収支を計算して地盤・建物の表面温度を求める。 地表面・建物外表面における熱収支式は次のようである。
Si+Ri+Hi+Ci+Li = 0 Si:放射による日射取得(短波) Ri:大気放射(長波)
Hi:対流熱伝達 Ci:地中または躯体への熱伝導 Li:植物などの蒸発による潜熱放出
上記のうち、日射取得量に関しては建物、及び地盤緑化(芝生),壁面緑化(ツタ)による遮蔽を考慮し、対流伝熱量は表面風速から所定の式で推算した。 ここでは、緑化は上記の芝生による地盤緑化とツタによる壁面緑化について評価するが、その熱収支式は水分蒸散と潜熱移動、及び日射遮蔽の3つのメカニズムを同時に表現する条件式として表す事ができる。
図6 地盤熱伝導メカニズム
<地盤表面温度・建物壁面温度の算出法>
地盤・壁面それぞれについて、緑化の有無に関するの熱伝達量を評価するために、日射熱授受、固体内熱伝導、水分蒸散-潜熱放出の3つの熱収支を考慮している。
1)地盤表面セル温度の算定
図7 地盤セルの温度変化メカニズム
◆地盤セルの温度変化 = 日射熱取得(短波)-空気への対流熱伝達 -地盤下方への熱伝導-大気放射(長波)-植物水分の蒸発熱放散
2)壁面セル温度の算定
図8 壁面セルの温度変化メカニズム
◆壁面セルの温度変化 = 日射熱取得(短波)-空気への対流熱伝達
-大気放射(長波)-植物水分の蒸発熱放散
-壁内への熱伝導-室内への熱伝達(空調温度)
3)空気セル温度の算定
図9 空気セルの温度変化メカニズム
◆空気セルの温度変化 =
流れによる移流拡散-壁面・地盤からの対流熱伝達-(植物水分の蒸発熱放散)
計算の過程では先ず等温場での計算を行って定常の流れ場を得、しかるのち熱発生・水蒸気発生条件を加えてリスタートで温度・湿度葉を計算した。 その過程での、熱発生による浮力の影響は大きく、流れ場は熱発生のある領域の上空において、大域的に大きな上昇流を形成する。
解析ケースは、 次の4つである。
ケース1 - 地盤緑化無し
ケース2 - 地盤緑化のみ
ケース3 - 地盤緑化+壁面緑化 10m
ケース4 - 地盤緑化+壁面緑化 50m
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