自然換気:某工場自然換気解析

解析の概要

温度分布+
   速度ベクトルパース断面図

温度分布断面パース図

 工場のような高熱を発する機器のある空間を設計する上で、換気設備の配置が適切でない場合には、その空間内の作業者にとって好ましくない環境となる可能性があります。そのような空間においては、基本設計の段階で換気設備の有効性を検討することが重要になります。

 

上記画像の説明

 建物頂部に設置した排気モニターから工場内の熱が排気される様子が確認できます。また、機器周辺には、温度の高い領域が確認でき、付近で作業する人にとって苛酷な環境になる可能性があります。

解析の詳細

     


    速度分布+速度ベクトル平面図 FL+1.63m

     


    温度分布+速度ベクトルパース断面図

     


    温度分布断面図 FL+1.63m

     


    温度分布断面パース図

     


    表面温度分布パース図

     


    流跡線パース図

     

    【解析結果】
     開口部・壁面下部のガラリから流入した外気が、工場内の機器からの熱により温度が上昇し、屋根中央部に設置された排気モニター、壁面上部のガラリから流出する様子が確認できます。工場内の温度は、温度成層化する様子が確認できます。居住域では、機器の近傍では、温度の上昇がみられるものの、機器の離れた位置では、外気温32℃とほぼ同等の温度となる様子が確認できます。これは、工場内の熱負荷に対して、充分な給気がなされていること、及び排気ルートが確保されていることを示していると考えられます。
     本事例のように、自然換気を利用した建築物において、WindPerfectを適用
    することで、建築物内の気流や温度の状況を把握することが有効です。
    また、機器の設置位置・発熱量の変更、給排気口の設置位置の変更、機械換気設備を併用したケースに対しても、柔軟に対応することが可能です。

・解析の目的
 近年、省エネルギー・コスト削減の観点から、機械換気設備に頼るのみでなく自然換気設備を導入した建築物が増えつつあります。工場のような高熱を発する機器のある空間を設計する上で、換気設備の配置が適切でない場合には、その空間内の作業者にとって好ましくない環境となる可能性が否めず、作業者が長時間作業する際に健康が損なわれる可能性が高くなります。このため、工場のような高い熱量を持つ空間において良好な温熱環境を保つためには、設計の初期段階において換気口・排気口の配置の検討が重要となります。本解析事例では、夏季・日中における、架空の自然給排気口を持つ工場を想定の上、モデル化し、人体・照明の発熱負荷、屋根・壁などからの貫流負荷を考慮し、工場内の温熱環境を把握することを目的としています。
・解析の内容
 解析空間の大きさは123m×120m×55mとし、総格子数は1,132,560とした。解析の対象となるモデルは発熱機器を持つ工場を想定した(図1、図2参照)。夏季・昼間・無風時(外気温32℃)を想定し、周囲の壁面下部には、給気用のガラリ、周囲の壁面上部には、排気用のガラリ、屋根中央部には、排気用のモニターを設置している。工場の出入り口は、開放状態としている。なお、本解析モデルの作成は、Revitにて作成したSTLデータをWindPerfectにインポートし、それを元に内部の機器を作成した。

  • 図1 解析モデル1 全体表示

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  • 図2 解析モデル2 内観表示

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    【解析条件】

    ・発熱条件
    機器負荷①(100W/㎡)
    機器負荷②(表面温度100℃・熱伝達率9.0W/㎡・℃)
    機器負荷③(表面温度40℃・熱伝達率9.0W/㎡・℃)
    照明負荷(40W/㎡)
    人体負荷(0.1人/㎡)
    天井・壁・床の貫流負荷
    ・開口条件
    壁面や天井に設置したガラリは、開口率70%とした。
    給気ガラリ:出入り口がある面を除く3方向の壁面
    排気ガラリ:4方向の壁面

     


  • 図3 発熱機器①設定位置図

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  • 図4 発熱機器②設定位置図

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  • 図5 発熱機器③設定位置図

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