自然換気:アトリウム内自然換気解析

解析の詳細


    • 図1 温度分布平面図Case1 ガラス面フロートガラス

    • 図1 温度分布平面図Case2 遮熱ガラス

    • 図2 温度分布パース図 断面同時表示機能使用Case1 ガラス面フロートガラス

    • 図2 温度分布パース図 断面同時表示機能使用Case2 遮熱ガラス

    • 図3 流跡線断面図 Case1 ガラス面フロートガラス

    • 図3 流跡線断面図Case2 遮熱ガラス

     アトリウムのような大空間は温度分布・気流分布が偏りやすく、居住域の快適性を適切に予測することが必要です。周辺の熱貫流率・日射条件・空調機器からの給気や各開口の排気の関係で温度・気流は大きく変動します。本解析では、空間内の温度成層状態を再現しながら、大きな面積を占めるガラス面での熱負荷を変更した場合の居住域の気流・温度分布の変化を予測しました。

・解析の目的
 アトリウムのようなガラス面を多く持つ建築物を建設する上で、アトリウム内部における空間内全体の温熱環境を把握することは重要である。しかし、アトリウムにおける窓の配置とその窓を透過する日射の影響や各時間帯において滞在する人が増減する影響から、時間別の温熱環境が異なってくる。 そのため、アトリウムの基本設計時における温熱環境の把握が難しいのが現状である。また、近年、環境への負荷を低減する目的から機械換気設備に頼るのみでなく、自然換気設備を利用した建築物が増加傾向にある。そこで、本解析事例では、WindPerfectDXを用いてある地方都市の中間季、12時における架空の自然換気のための開口や窓を有したアトリウムを想定の上、モデル化し、アトリウム南側のガラス面を透過・吸収再放射する日射負荷、人体・照明の発熱負荷、屋根・壁などからの貫流負荷を考慮し、アトリウム内の温熱環境を把握すること目的とする。なお、本解析事例では、アトリウムのガラス面をフロートガラスとしたCase1とフロートガラスに遮熱ガラスとしたCase2の2ケースについて比較検討を行う。
・解析モデル
 解析空間の大きさは200m×200m×100mとし、総格子数は2,845,782とした。モデル概要として、開放型のアトリウムを想定し、南側と東側の一部にガラス面があり、給気口として北側1箇所・南側2箇所・東側1箇所の合計4箇所の開口部と2階南面・東面にある換気窓、排気口として北側・東側の排気設備塔を有している。解析に使用した気象データはある地方都市の中間季におけるデータであり、12時のデータを採用した。採用したデータは、12時において最も大きくなる南側の垂直面全天日射量697.8W/㎡、外気温度24.4℃である。
発熱条件はアトリウムにある南側のガラス面から日射負荷、人体負荷 (0.7人/㎡) 、照明負荷 (15W/㎡) 、天井・壁・床の貫流負荷を考慮した。 窓の性能は、Case1 フロートガラスで透過率82.9%・吸収率9.7%・反射率7.4%、Case2 遮熱ガラスで透過率56.6%・吸収率37.3%・反射率6.1%である。日射負荷条件の与え方は図6に示す。なお、本解析事例は1800秒 (30分)後の結果であり、計算に要した実時間は約8時間である。

  • 図4 解析モデル1 全体表示
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  • 図5 解析モデル2 内観表示
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  • 図6 日射負荷条件の概念図Case1 ガラス面フロートガラス
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  • 図6 日射負荷条件の概念図Case2 遮熱ガラス
  • ・解析結果
     両ケースについて開口部、2 階壁面給気口から外気が供給され、アトリウム上部に設置した排気口よりアトリウム内の熱が排出される様子がみられる (最上部 図3 参照)。アトリウム1階居住域の大部分における温度は25~27℃となり、外気温24.4℃に対して、最大で約2.5℃程度の温度上昇となり (最上部 図1 参照)、開口部や給気口、排気口が有効に作用している様子がみられる。また、アトリウム全体でみると、アトリウム内でほぼ温度成層化する様子がみられ、24~30℃の温度分布となる (最上部 図2 参照)。 しかし、アトリウムの中央部において南側窓面から透過した日射の影響により温度が高くなる様子がみられ、ガラス面にフロートガラスを使用したCase1では最大で約38℃、ガラス面に遮熱ガラスを使用したCase2では最大で32℃となる (最上部 図1 参照)。これは遮熱ガラスを設置した効果によるものである。
    以上の結果より、WindPerfectDXを用いることによって、アトリウムの基本設計時における開口部や給排気口の効果や、温熱環境が厳しい箇所について把握し、その対策を検討することが可能である。また、本事例では、中間季12時における検討を行ったが、想定する季節や時間を変更して検討することも可能である。
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