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※「CAD Japan.com」のサイトでオンラインセミナーの様子を オンデマンド配信中!!
オンラインセミナーのスタジオで解説する環境シミュレーション代表取締役、阪田升氏
幅広い守備範囲を持つ WindPerfectDX2012
「今日はIFC形式でBIMのモデルを取り込んでみます。これが建物の全景ですね。この1階部分の解析を行ってみましょう 」 ―― 1月25日の午後、都内水道橋の大塚商会スタジオを訪れると、 WindPerfectDX2012」 の新機能を使って、BIMで設計した建物のデータを取り込み、空調シミュレーションの デモンストレーションが行われていた。
防音化されたスタジオの中で、パソコンを操作しながら “生放送” で解説するのは、 「WindPerfectDX2012」 の開発・販売元である環境シミュレーションの代表取締役、阪田升氏だ。
この日、生放送されたオンラインセミナー「進化する『WindPerfectDX』の新たな搭載機能とは?」は、大塚商会主催で午後2時から1時間、配信された。開始時間前になると、受講者が次々にログインしてくる。セミナーの開始を待つ受講者に向けて、司会を務める大塚商会のアプリケーションエンジニア、大野功太氏が「セミナーは間もなく始まります。もうしばらくお待ちください」とアナウンス。WindPerfectDX2012の新機能が紹介されるセミナーへの期待が徐々に高まってきた。
オンラインセミナーのスタジオ。 ビデオカメラやアーム付きマイク、照明などの機材が並ぶ
午後2時、セミナーがスタート。前半は、BIMの設備モデル用データ交換フォーマットの開発状況など、BIMやCFDに関する最新動向を解説。「日本のBIMはアドバルーンを上げる時期は終わり、普及段階に入りました。これからは実務での利益の追求が課題になります」 と阪田氏はBIMの動向について語り始めました。
「WindPerfectDX2012はBIMの設計ワークフローの中で、風環境やヒートアイランドの解析、空調、換気、風荷重、移流拡散、結露のシミュレーションなど、幅広い守備範囲を持っています」と説明した。
WindPerfectDX2012は幅広い機能を持つ。ボイドビルの自然換気解析 (左)。
ヒートアイランド解析例(右)
街並みの風に関する気流解析 平面風速分布(左)。断面風速分布(右)
BIMモデルをWindPerfectDX2012に読み込む
続いて、「WindPerfectDX2012」 で搭載された新機能の紹介だ。「CADのデータ読み込みについてはこれまでDXF形式やSTL形式に対応していましたが、今回はIFC形式までサポートしました。さらに地図情報のGISデータの読み込みも可能です。これだけ幅広いデータ読み込みを網羅したCFD解析ソフトはWindPerfectDX2012だけです」と阪田氏は語った。
阪田氏はIFC形式で保存された8階建てマンションのBIMモデルデータ(福井コンピュータ殿提供)を、「WindPerfectDX2012」に読み込んだ。デモンストレーションに使ったのは普通のノートパソコンだが、10秒かかるかどうかという待つほどの時間でもないうちに読み込みは完了した。
今回は1階部分に設けられたコンビニエンスストア内の空調解析が課題だ。この建物内部を丸ごとCFD解析するのは無駄なため、まず「WindPerfectDX2012」ならではの解析領域の設定機能で解析を行う部分を囲い込んだ。
WindPerfectDX2012に読み込んだマンションのBIMモデル(左)。 黒い枠で囲まれた領域内だけを解析できる(右)
その後、空調の吹き出し口や吸い込み口をコンビニ室内のモデル上に設置した。 「これらの吹き出し口などには、解析で使うデータを属性情報として設定できるようになっています」 と阪田氏は語る。 さらに空調解析条件として外気温や目標温度、壁や天井などの熱貫流率や隣室の温度、人体や照明、機器からの発熱負荷などをダイアログボックス上で簡単に設定する方法を説明した。
オンラインセミナー中、スタジオの中に指示を送るディレクター役の
大塚商会アプリケーションスペシャリスト、杉浦幸治氏
面倒な解析条件を空調機器の「パーツ」に内蔵
WindPerfectDX2012の特徴は、空調の吹き出し口や吸い込み口、ファンなどを形状とともに計算条件データ付きの「パーツ」としてモデル上にドラッグアンドドロップで配置できることだ。 これまでのCFDソフトは、境界条件の設定などが面倒で、作業にも時間がかかっていたが、パーツ化により必要なCFD解析を短時間かつ簡単に行えるようになった。
阪田氏は最近、WindPerfectDX2012の活用が増えているサーバールームの空調解析を題材に、パーツの機能を説明した。
「まずサーバールームの空間を作り、その中にサーバーラックを配置していきます」と阪田氏は、一般のドローイングソフトを使うように、複写機能を使ってラックを次々と設置していく。サーバーラックもパーツになっており、寸法や形状のほか消費電力や風量、開口率などCFD解析に必要な解析条件がセットされている。
ラックが配置された後は、床に吹き出し口を配置していく。これもラックと同様に解析条件が内蔵されたパーツになっており、複写を何回か繰り返すうち、あっという間に配置が完了した。
サーバールームの空調解析。ラックのパーツには解析条件が内蔵されている(左)。
ラックや空調の吹き出し口などが配置された解析モデル(右)
スタジオに隣接する調整室ではモニターで画像などを常時チェックしている
「熱流体解析をユーザーの皆様にとって、使いやすく、便利なものにしていきたいです」 と阪田氏は言う。開発者の考えや意気込みまでが伝わってくると、ソフトに対する理解も深まる。オンラインセミナーとは言え、リアルさは普通のセミナーと変わらない。
最後に、司会者の大野氏が受講者に向けてセミナーについてのアンケート回答を呼びかけ、この日のオンラインセミナーは無事に終了した。
アンケート回答を呼びかける画面
大塚商会のオフィスに設けられたスタジオ
阪田氏のオンラインセミナーの様子は、スタジオに隣接する調整室のモニターに映し出され、解説中のパソコン画面が表示され、スピーカーから声が流れてくる。これは、オンラインセミナーの受講者が視聴している画面と音声そのものだ。まるでセミナー会場に出掛けて、講師から説明を受けるのと同じく、リアルな受講ができる。
このスタジオが設けられているのは、東京都千代田区水道橋 にある大塚商会のオフィスの一角だ。 同社が運営するウェブサイト「CAD Japan.com」が開催するオンラインセミナーの収録を行うため、2011年に設けられた。
スタジオはまるで小さな放送局そのものだ。周囲は黒い防音材で囲まれ、外部の騒音はシャットアウトされる。 中央にはテレビ番組のキャスターが座るようなデスクが置かれ、その回りをアーム型マイクやビデオカメラ、照明装置が取り囲んでいる。
大きなガラス窓越しにつながる調整室では、本格的なミキサーや数台のモニター、スピーカーなどが置かれ、ディレクター役のスタッフが画面や音声などをチェックするとともに、オンライン配信をコントロールしている。
本格的なミキサーなどが並ぶ調整室。 奥のスタジオとはガラス窓越しに隣接している
この日のオンラインセミナーは録画され「CAD Japan.com」のサイトで オンデマンド配信中だ。
環境シミュレーションでは、同社の移動境界問題・自由表面問題シミュレーション専用プログラム「e-flowDX」を使った津波解析シミュレーションのオンラインセミナーも開催し、好評だった。 こちらも既にオンデマンド配信されている。
日ごろの事務でなかなかセミナーに足を運べない設計者や技術者も、オンラインセミナーなら業務の合間の1時間ほどで、最新情報や活用方法を学ぶことができ、その後はすぐに仕事に戻れるというメリットがある。環境 シミュレーションではこうしたオンラインセミナーのメリットを生かし、今後も様々なテーマでオンラインセミナーを開催していく方針だ。
収録を終え、大塚商会解析プロモーション課 杉浦氏・大野氏と
取材協力 : 株式会社大塚商会
取材にご協力頂きました、杉浦様・大野様はじめ社員の皆さま、誠にありがとうございました。