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自然換気シミュレーション(1)
3次元熱流体解析ソフトウェア WindPerfectDX を用いた自然換気シミュレーションについてご紹介します。

目的

高層ビルにおけるボイドや工場建屋などの換気に近年自然換気が用いられることが増えています。 機械換気にはエネルギー消費を伴うため、空間の規模の大きさを問わず積極的に自然換気を利用した方がエネルギーコスト面で有利でありCASBEE評価でもランクが向上するからです。 また節電やCO2削減の必要性が高まる中、消費エネルギー量を減らすために夏季での自然換気の重要性は大きく増すと考えられます。

自然換気シミュレーションのポイント

機械装置を用いた一般的な空調・換気シミュレーションと比して、自然換気を伴う気流シミュレーションの実現は実は容易ではありません。 自然換気シミュレーションでは、温度分布が実態どおりに計算できて温度分布の差から生じる体積力によって空気を動かし、適切な給排気量が再現されなければなりません。 実はよく使われるBoussinesq近似で体積力を単純に流体に加えるだけでは、流体の熱流動は実態どおりに計算できません。 空間内の風量バランス・熱量バランスの詳細なチェックをした上で、温度差換気の推進力となるBoussinesq近似による流体への体積力の寄与を正確に算出する必要があります。

本シミュレーションで出来ること

① 換気を必要とする空間の風速分布・温度分布・湿度分布・コールドドラフト・結露付着量・輻射熱伝達量などを詳細に予測する事が出来ます。 予測を元に空調機器の選定やガラリやモニターなどのサイズ・設置位置などを検討することで、より効果的な改善案の策定が可能になります。

  • 断面温度分布
  • 表面温度分布

< 某清掃工場 >

空間全体の温度分布を元に換気モニターの位置や大きさを検討。 ボイラー周辺や点検歩廊周辺の熱環境は大きく改善された。
② 吹き抜け・アトリウム・ピロティ・ガレリア・エントランスホール・高天井空間などの一般建築や工場・駅舎・倉庫・地下空間などあらゆる空間を対象にシミュレーション出来ます。 壁面の窓やガラリなどの開口部、機器・照明・人体などの室内の発熱体の設定に加えて、トップライトからの日射や給排気を考慮したシミュレーション可能です。
  • 工場解析モデル
  • 表面温度分布

< 某機械加工工場 >

有風時、作業空間の温度分布に偏りが出るため、ルーフファンの設置,ガラリ開口の増設などを実施して温熱環境を改善した。
③ 室内の限られた空間から住戸、あるいは建物丸ごと全体まで、さまざまな規模のシミュレーションに対応します。 通風換気のみのシミュレーションから、無風時における日射熱を考慮した重力換気シミュレーションまで、検証したい事例に合わせて対応できます。
  • 住戸解析モデル
  • 流跡線分布

< 住戸通風シミュレーション (PocketMyHome) >

CADデータをベースに構築した住戸に任意に建具の開閉条件を設定し、内部の気流分布・通風量を15分以内で求める。
④ ノズルやアネモ・循環ファン・有圧扇・ルーフファンなど、さまざまな空調機器や換気装置などを組み合わせてのシミュレーションも可能です。 吸い込んだ空気をそのままの温度、あるいは何℃か足して吹き出す成り行き排気も設定可能です。
  • 平面風速分布
  • 平面空気齢分布

< 某倉庫施設 >

庫内の換気を改善するための循環ファン設置を検討。 換気状況をSVE3 (空気齢) を用いて評価し、循環ファンの位置を決定。
⑤ ボイドやアトリウム・ピロティを含む建物内の詳細なレイアウトや、トップライト、給排気口をすべて考慮する事が出来ます。 ボイドの効果の検証や建物全体での温度ムラの有無などを事前に予測できます。 個々の開口の換気風量や中性帯の予測も可能です。
  • 断面温度分布
  • 流跡線分布

< 某オフィスビル >

吹き抜け空間のある建物内全体の自然換気を評価。 外壁の換気口から入った空気がトップライトから排気されている。
⑥ ダブルスキンやスパンクリートなどの特殊な建物構造を再現して気流分布を評価することも可能です。 また、地中熱を利用したり、水膜流下式のガラリをもつ外気取り入れ口を用いるなど導入空気に自然の冷熱を利用するようなシミュレーションも可能です。
  • スキン内温度
  • 躯体表面温度

< 某ダブルスキンオフィスビル >

ダブルスキン内の気流分布・温度分布を予測し、空間全体の温度分布を元に換気モニターの位置や大きさを検討。

     

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