解析の概要
平面風速分布 風向SSW
風害ランク評価 村上式
高層ビル風害シミュレーション
ニーズの高い風のシミュレーションは16方位総てについてシミュレーションを行い結果データに対して統計処理を行って風害ランク評価を求めるものです。 日平均風速を用いる風工学方式と日最大風速を用いる村上式の2つがあり、風害評価で頻繁に用いられ裁判資料にも採用されます。建築前・建築後・対策後の評価の比較が重要となります。
上記画像の説明
評価点は敷地内外の重要箇所や周辺道路上に置きます。ランクは4段階で高いランクでは居住不適とされます。
解析の詳細
① 風環境解析結果 平面風速分布図 / 風向北(N) 左:建築前,右:建築後
② 風環境解析結果 平面風速分布図 / 風向南(S) 左:建築前,右:建築後
高層棟解析モデル 左:計画前,右:計画後
風害ランク評価 評価点でのランク値 左:建築前,右:建築後
風害ランク評価の比較
・解析の概要
風環境解析は、計画建物が建ったことによって変化する敷地内や周辺の風況を評価するものです。その尺度には風害ランク評価がよく使われますが、16風向毎に実施した気流解析データを気象データに基づいて統計処理して、居住する人間にとっての快適性を検討します。気流解析データを得るのは、風洞実験でも数値シミュレーションでもどちらでも良いのですが、私どもではここ10数年、実寸大の建物スケールで行った気流計算(CFD解析)の結果を用いて風環境解析業務を行っています。
風害ランク評価では、16風向の気流シミュレーションを建築前後のモデルに対して行い、得られた地点毎の風速比にワイブル係数を考慮した統計的処理を加え、ランク評価を計算します。風害ランク評価には村上方式(日最大風速ベース)と風工学方式(日平均風速ベース)があり、関東や近畿の大都市では自治体の意向で村上方式が適用されるケースが多いようです。だからといって風工学方式が評価として劣っている訳ではなく、突風率によって評価が変わらないなどの利点も持っています。
下の図の左側が建築前、右側が建築後の解析モデル図になりますが、この程度の市街区に大ボリュームの高さがある建物が建ったのですから、当然の事ながら風が吹いた場合の計画建物周辺の状況は大きく変化します。しかし問題なのは単に風が変化したということではなく、その風が住民や通行人の住環境に悪影響を及ぼし、その程度が受忍限度を越えていないかということです。また、大きな建物が建ったからといって総ての領域で風が強くなることはありえず、限定的ですが風が弱くなる領域も存在します。それらを総合的に勘案して適切な環境評価と風害対策を施すのが、風環境解析の要諦と言えます。
気象データより風配を計算し、風速毎の出現頻度も確認した上で風速と適当な粗度区分を設定します。解析モデルはBIMCデータを利用して作成し、格子数は524万です。シミュレーションは普通のPCで実施し、16ケース分で1日足らずで計算処理が終わります。私どもでは陰解法は使用せず、総て陽解法で計算しています。これは実は非常に重要なことです。
最上部結果図(① 風環境解析結果)に、風向北(N)の場合の平面風速分布の比較を示しました。赤線で囲われた敷地境界線の周辺で風速が変化している領域があるのがよく分かります。計画建物敷地内南側では、建築前は風速がほとんどない青色で表示されていますが建築後では約3m/secの風速の風が建物直近で渦巻いているのが観察出来ます。風速0.5m/secあるかないかの領域が3m/secも吹くようになったのですから、これは大きな変化と言えます。
また、最上部結果図(② 風環境解析結果)には逆方向の風向南(S)の場合の平面風速分布の比較を示します。この時も敷地北東側の道路上では、建築前ではほとんど静謐(Calm)であった場所がやはり3m/sec程度の風速にまで上昇している領域が見られます。風速比による評価ではこれらの領域は建築後 / 建築前で10近い値となって風況の悪化を強調しすぎるため、風害ランク評価の方が風環境評価の指標として適当なのではないかと考えられます。 建築前・建築後16風向の計32ケースのシミュレーション結果が出ると、計画建物敷地周辺の適当な位置に評価点を設定して風害ランク評価を行いました。本案件では47点の評価点についてまとめましたが、4,10,11,38の4点のランク評価が1から4になり、大きく風況が悪化しているのが分かります。逆に2,3の2点はランク評価が2から1に落ち、風環境が改善していることも判明しました。風向毎の解析結果を参照しながらどの風向の風のどのような影響で風況が変化したのか検討すれば、風害対策にとって有効な知見が得られることが多いと私どもは考えています。
最上部結果図(① 風環境解析結果)に、風向北(N)の場合の平面風速分布の比較を示しました。赤線で囲われた敷地境界線の周辺で風速が変化している領域があるのがよく分かります。計画建物敷地内南側では、建築前は風速がほとんどない青色で表示されていますが建築後では約3m/secの風速の風が建物直近で渦巻いているのが観察出来ます。風速0.5m/secあるかないかの領域が3m/secも吹くようになったのですから、これは大きな変化と言えます。
また、最上部結果図(② 風環境解析結果)には逆方向の風向南(S)の場合の平面風速分布の比較を示します。この時も敷地北東側の道路上では、建築前ではほとんど静謐(Calm)であった場所がやはり3m/sec程度の風速にまで上昇している領域が見られます。風速比による評価ではこれらの領域は建築後 / 建築前で10近い値となって風況の悪化を強調しすぎるため、風害ランク評価の方が風環境評価の指標として適当なのではないかと考えられます。 建築前・建築後16風向の計32ケースのシミュレーション結果が出ると、計画建物敷地周辺の適当な位置に評価点を設定して風害ランク評価を行いました。本案件では47点の評価点についてまとめましたが、4,10,11,38の4点のランク評価が1から4になり、大きく風況が悪化しているのが分かります。逆に2,3の2点はランク評価が2から1に落ち、風環境が改善していることも判明しました。風向毎の解析結果を参照しながらどの風向の風のどのような影響で風況が変化したのか検討すれば、風害対策にとって有効な知見が得られることが多いと私どもは考えています。
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