第14回 圧倒されるBIM関連の英略語とBIMオタク

 私は、今までに、BSIジャパンが主催するISO19650の講義を講師として24回担当し、500人以上の方々を育ててきました。その講義で、皆さん最初に戸惑われているのが、英語の略語です。初めて聞く多くの英語の略語とそれらの意味に圧倒されて、なかなか講義に入り込めないという方もおられます。略語は、わかる人には良く理解できるのですが、わからない人には全く伝わりません。しかし、逆に、これが理解できれば、早く的確に伝えることができるので便利だと思います。

 我々も日常会話の中で、略語はとてもよく使っています。たとえばSNSなどがそうですね。これは、Social networking serviceの略語ですが、ツイッターやインスタグラム、ラインなどを指す言葉です。でも海外では通じないようで、和製英語といえます。海外では「SNS」ではなく「Social media」と呼んでいるようです。 このように略語って、うまく使うと便利ですけど、知られていないと通じないということになります。

 例えば、海外で使われている略語としては、ASAP(アサップ)があります。
「ASAP」とは、「as soon as possible」で、できるだけ早くという意味です。日本では「なる早」という略語になりますね。
このように、わかる人には良くわかるけれど、わからない人にはまったく通じないのが英略語ですね。

 本題のBIM関連の英略語について話してゆきます。plammerly社から、「BIM関連の略字TOP50:知りたかったけど知るのが怖かった英略字のすべて」という記事が出ていますので、そこから引用してみたいと思います。
  

https://plannerly.com/50-bim-acronyms/

 plammerly社のplammerlyというクラウドソリューションは、とっても面白いものですので、いつか紹介するかもしれません。ISO19650を運用する上で、キーとなるソリューションのような気がしています。

 さて、ここで書かれているBIM関連の英略語TOP50は下記の50個です。これらの英略語に圧倒されてしまうのは、海外でも同様のことのようです。
  
BIM関連の英略語 TOP50

 皆様は、何個知っていますか?中には想像もつかないような英略語もあると思います。実は、自称「BIMオタク」の私も、恥ずかしながら聞いたことがないか、忘れているような用語もいくつかありました。
 そこで、私が聞いたことがなかったり曖昧だったりする用語を少し説明しますね。

3)のBHAGです。
 これは、「Big Hairy Audacious Goal」で、「達成が困難な野心的な目標」を指すようです。でも、これはBIMの用語というより、一般的な英略語なのかもしれません。plammerly社の説明によると、4番目に4DBIM、5番目に5DBIMというように、番号とBIMの次元を一致させたいから入れたと書いていますね。(そんな理由で入れるんかい!)
でも、BIMとは、建設業界や建設企業の改革・革命であり、その実現にはBHAGが必要となると考えてもよいでしょう。

18)のBCFが、聞いたことはあるのだけど、イメージができませんでした。
 これは、「BIM Collaboration Format」です。plammerly社の説明によると、「さまざまなソフトウェア システムがさまざまな BIM ツール間の衝突や問題に関する情報を転送できる構造化された交換フォーマット」と書かれています。BIMモデルの干渉部分などの問題とその協働作業による解決のために使われるフォーマットです。
これは「BIMオタク」としては、すぐにイメージできないといけませんね。まだまだ修行が足りません。

20)のIDSxml
 IDS はInformation Delivery Specificationの略で、XML はExtensible Markup Languageの略です。
IDSとXMLはわかっていても、繋げた一つの言葉を知りませんでした。IDSは、ISO29481-1の用語の解説の3.2の情報伝達マニュアル(IDM)の説明の注釈で、「IDMはIDS(情報提供仕様書)と呼ばれることもある」と書かれているのを見ていたので、イメージが付きました。

22)のPLQ
 PLQは、Plain Language Questionsの略で、発注者が受託者(設計事務所・ゼネコン)などに行う平易な質問という意味です。発注者が入札時に、要求事項を伝達ために行う簡単な質問であり、それに対し、応札時に受託者(設計事務所・ゼネコン)が回答しなければならないもののようです。

34)のGUID
 GUIDは、Globally Unique Identifierの略です。これはIT用語からきているようです。
GUID は、データベースレコードやファイルなどのオブジェクトを一意に識別するためにソフトウェアで使用されるもののようです。
plammerly社の説明では、「GUID は通常 16 バイトの長さで、32 桁の 16 進数で表されます。GUID のテキスト表記例は次のようになります: 79d91gse-4rr7-5293-f89d-24332g73h3kp-0101rq0n」と書かれています。 これ、ISO19650で定義されている情報コンテナの命名規則に近いように思います。ということは、共通データ環境の情報コンテナを一意に識別するために、GUIDの構造を定義しているのだと考えると納得がゆきます。なるほど。
なんとなく聞いたことがあるのですが、こうして調べると腑に落ちることもあります。

38)のLOA
 LOAは、Level of Accuracyの略です。
plammerly社の説明を引用します。「精度レベル (LOA) は、測定された精度または表現された精度です。BIM の場合、モデルが実際の建物にどれだけ一致しているかの尺度です。LOA は、LOA 10 から LOA 50 までの数値スケールとして表されます。LOA 10 は、BIM モデルが 100 mm 以内であることを意味し、LOA 50 は、BIM モデルが 1 mm 以内であることを意味します。LOA が高いほど、BIM モデルの精度が高くなります。」
LODは理解しているつもりですが、LOAはイメージできませんでした。

43)のMPS
 MPSは、「Model Progression Specification」です。plammerly社の説明によると、「BIM モデルを長期的にどのように開発するかを定義します。通常、一連のマイルストーンとして表現され、それぞれに独自の詳細レベル/開発/定義レベルがあります。たとえば、MPS は、モデルが設計段階の終わりまでに LOD 200、施工段階の終わりまでに LOD 300、竣工時に LOD 400 になる必要があると述べている場合があります。」
「Model Progression Specification」は、「モデル進行仕様」という訳になるかもしれません。設計~施工といったステージに対し、どのようにモデルが成長(進行)するかをLODで定義し、それをどう活用するかを示しているようなものです。

47)のRPF
 RFP は、「Request For Proposal」です。割と一般的な用語のようです。
これは「提案依頼書」と訳され、業務委託において、発注する企業が自社の要件や要望を記載し、発注先(受注)企業に対して具体的な提案を求める際に用いられる入札文書のことです。
意味としては分かるのですが、RPFといわれてもピンときませんでした。

※他のBIM関連の英略語については、plammerly社の説明をグーグル翻訳などして、ご覧になってください。

 私の場合、50個の英略字に対して、わからなかったり、曖昧だったりするものが8つありましたので、100点満点で考えると84点ということになります。もしかすると「BIMオタク」の看板を下ろさねばならないと言われるかもしれませんが、80点以上は、「BIMオタク」と言ってもいいのではないでしょうか?60点以上は「初級BIMオタク」、40点以上は、「BIMオタク見習い」かな?まぁ、そんな称号いらんよという方がほとんどでしょうけど(笑)

 まだまだ私も修業が足りないことがわかりましたが、皆様もぜひ、なかなか理解しにくい用語や概念を理解しようとする挑戦を続ける「BIMオタク道」を極めてくださいね。