第21回 2024年のBIM福袋 ~BIM加速化事業~

 2023年に実施された建築BIM加速化事業の、予算執行状況は、80億円の予算に対し、約51億6千万円と、64.5%に留まっています。(2023年12月25日時点)
 2023年度(令和4-5年度)の建築BIM加速化事業は、BIMを始めようとする多くの企業の注目を集めましたが、プロジェクト要件を満たす物件がないために、参加することができなかった企業がありました。しかし、2024年度(令和5-6年度)の建築BIM加速化事業では、多くの企業が参加できるように、配慮されています。

2023年度(令和4-5年度)の建築BIM加速化事業の予算執行状況

 この2024年度の建築BIM加速化事業は、2023年度の事業よりもかなり敷居が低くなっています。これは、これからBIMを始めようとする企業にとっては、福袋といえるものではないかと思っています。ぜひ、この補助金を使って、多くの企業にBIMを始めて欲しいものです。

2023年度(令和4-5年度)の建築BIM加速化事業の予算執行状況



 2023年度の建築BIM加速化事業のプロジェクト要件は、新築工事・地区面積(敷地面積+敷地に接する道路の中心線以内の面積)1000㎡以上・延べ面積1000㎡以上・地階を除く階数が3以上・耐火建築物又は準耐火建築物といったものでした。このため、まず改修工事は事業対象外でした。また、地方のゼネコンにとっては、3階建てで地区面積及び述べ面積1000㎡以上の建物が多くはなく、結果的に地方の中小ゼネコンでは事業の参加が難しいと言った課題がありました。
ことろが、今年の福袋といえる2024年の建築BIM加速化事業のプロジェクト要件では、この地区面積・延べ面積・階数の要件が撤廃されたため、小規模なプロジェクトでも参加できることになりました。さらに改修プロジェクトでも、改修前の建物が要件を満たしているか、改修後に要件を満たすことが出来れば、この事業に参加することができます。

2023年度(令和4-5年度)の建築BIM加速化事業での見直し事項

BIM福袋といえる補助金の額は下記となります。例えば、小規模な建物だとすると設計で上限2,500万、施工で上限4,000万の補助金をもらうことが可能です。

建築BIM加速化事業の補助金額の上限

 補助金の対象内容は下記となります。設計BIMのBIMモデル作成費用については、残念ながら今回も補助金の対象ではありません。
① BIMライセンス等費(BIMソフトウェア利用費・BIMモデルを利用するためのPC等周辺機器リース代・CDE環境費等)
② BIMコーディネーター費(BIMコーディネーター、BIMマネージャー、BIM講習に係る費用)
③ BIMモデラ―費(施工BIMに限る)

建築BIM加速化事業の体制イメージ(設計)

 建築BIM加速化事業で補助対象となるソフトウェアについては、建築BIM加速化事業実施支援室から、補助対象ソフトウェアのリストが公開されています。
 もちろん、AutodeskのRevitや、Autodesk Construction CloudのDocsやBuildなども対象ソフトウェアですが、環境シミュレーションのWindPerfectも補助対象ソフトです。例えば、建築BIM加速化事業に参加し、作成したBIMモデルを用いて、CFDに取り組む場合、WindPerfectを購入し、講習を受けるところまで、補助金を活用するのもよいでしょう。Revitからだとアドインツールから、直接WindPerfectを起動して解析することが可能ですので、BIMモデルを用いたCFDを実践してみるよい機会になるでしょう。
 補助対象ソフトは、2023年12月27日時点で、290あります。BIMによる可能性を開くために、是非この建築BIM加速化事業に取り組んでみたらどうでしょうか?

※建築BIM加速化事業については、下記の国交省のホームページをご確認下さい
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/bim.html