第28回 CFDど素人がWindPerfectを使ってみた 6

 解析条件の設定ついて、話を進めてゆきます。外部風解析に必要となる解析条件は下記の3つです。これらの設定を間違えると正しい解析結果を得られませんので、これらについて正しい理解が必要です。
①解析を行う場所の、気象官署高さと基準風速
②風向
③粗度区分  


WindPerfectの解析条件の設定画面



 まず、①の解析を行う場所の、「気象官署高さと基準風速」と②の「風向」ですが、選択肢として、札幌~那覇の8カ所が用意されていますが、これ以外の場所の場合も多いと思います。この場合は気象庁のアメダスの気象データを利用するようです。
 そこで、気象庁の「過去の気象データ検索(https://www.data.jma.go.jp/stats/etrn/index.php)」を開きます。そこで、まず地点の選択で、解析の場所を選択します。


気象庁の過去の気象データ検索画面



  ここでは、例として千葉県の館山市を選んでみましょう。千葉県内でも、気象観測をしている地点が多くありますが、すべての地点ですべての気象観測をしているわけではないようです。例えば、地図上で青い●の地点は、降水量ぐらいしか計測されていません。これらの地点から、解析しようとする場所に近い地点を選ぶことになります。千葉県の館山市は風に関する観測データはあるようです。


過去の気象データの地点の選択画面



 データの種類として、「年ごとの値」を選び、詳細(風)を選ぶと、図のような表が出てきます。ここで、確認するのは、過去5年の平均風速と最多風向です。


館山(千葉県)の風に関する観測データ



  過去5年間の平均風速を合計して、その平均をこの地点の風速と考えます。この場合、3.36mとなります。
次に、気象官署高さですが、これは、気象観測所の風速計の高さとなります。この資料は、地域気象観測所一覧(https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/amedas/ame_master.pdf)を使って、館山(千葉)の観測点の風力計の高さを調べます。


地域気象観測所一覧による館山(千葉)の風速計の高さ



  この資料によると、風速計の高さは21.8mとなっています。ということで、Windpwefectの解析条件の設定では、任意を選んだ上で、気象官署高さは「21.8」、風力は「3.36」と入力すればよいでしょう。
 次に風向ですが、この場所の最多風向は、東か南西となっています。風向については、何の解析をするかによって決まるものです。単に一年を通じて最も多い風向で解析を行うというやり方もあるでしょうが、たとえば、夏季の風の解析を行うと言う場合もあるでしょう。その場合、平年値(年・月ごとの値)の表を使うとよいと思います。例えば、7月~9月の平均風速は3.47m/secと年平均より少し大きな値になり、最多風向は南西と東となります。




  このように、風向を設定南西とか東とか決めて解析を行ってもよいですが、16風向全部を計算することもあります。 単に外部の風を解析すると言っても、何のために何の風を解析するというのが重要だと思います。
 風環境の評価としては、「ビル風の基礎知識」では、「風工学研究所」による方法と、「村上方式」という方法があるようです。「風工学研究所」による方法は、地上5mでの日平均風速を対象として、 その風速の累積頻度55%(平均的な風速に相当)と 95%(週1回程度吹く比較的速い風速に相当)の風速によって風の状況をランク分けして評価します。
「村上方式」では、地上1.5mでの日最大瞬間風速を対象として、 10m/sec、15m/sec、20m/secにおける超過頻度によってランク分けして評価します。
 こういった方式があることは分かったのですが、ど素人には、「ビル風の基礎知識」を読んでもよくわかりません。まぁ、このブログの目的は、とりあえずWindPerfectを使ってみようという事なので、WindPerfectがこれらにも対応できるということだけ、覚えておいて、今回は、下記を解析条件とします。
外部風環境の目的 館山市の夏季の最多風向における外部風環境の解析
①解析を行う場所の、気象官署高さ 21.8m
②基準風速  3.36 m/sec
③風向 南西と東
 粗度区分については、次回取り組んでみたいと思います。
外部風の解析は、様々なCFDの中でも簡単な方だと思っていたのですが、いろいろ考えることがありますね。ど素人にはちょっとしんどいけど、WindPerfectは、解析結果がきれいだと言うのがウリなので、それを自分で作れるということを目指して、もう少し頑張ってみたいと思います。