MISIAさんの歌で「アイノカタチ」という曲があります。作詞と作曲はGReeeenで、心にしみるとてもいい曲です。実はこの曲、MISIAさんだけでなく、作詞や作曲をしているGReeeenも歌っています。さらにユーチューブでは演歌歌手の島津亜矢さんやクリスハートさんが歌っているのも聞くことができます。それぞれ違い味わいがあって、それぞれ「アイノカタチ」のカタチを出しているので興味深いですね。さらに、ユーチューブではガチャピンも歌って、それを聞くとなんか勇気づけられるので、是非聞いてみて頂ければと思います。
ガチャピンの「アイノカタチ」
https://www.youtube.com/watch?v=duE1LKbDinE
歌詞もとても好きなのですが、ふとBIMの替え歌が頭に浮かんできたのでご紹介します。ぜひガチャピン風に明るく歌ってください(笑)
あのね いつの間にか 気づいたんだ
BIMに もしカタチがあって
それがすでに わたしの仕事に はまってたなら
きっとずっと 今日よりももっと
BIMのことを知るたびに
そのカタチはもう BIMじゃなきゃ
きっと隙間を作ってしまうね
元の歌詞は、愛にはそれぞれ違う形があって、それぞれ人によって違う在り方があるということが書かれているのじゃないかと思います。だから、BIMにも取り組む人によって違う在り方があるのではないかと思ったので、なんとなくこんな替え歌が思いついたのだと思います。そしてBIMが正しい仕事のカタチを作ってないとしたら、隙間できてしまう、つまりうまくいかないといった意味合いとなります。
皆様のBIMのカタチは隙間なく仕事にはまっているのでしょうか?実はなかなかうまくはまっていないことが多いと思うのです。企業としてBIMに取り組むということを考えた時、企業のトップである社長や役員レベルの方が見ている「BIMのカタチ」と、例えば設計作業や施工を担当している社員の「BIMのカタチ」そして、実際にBIMモデルを作っている協力会社の方たちの「BIMのカタチ」はかなり違いがあるのです。
企業のトップである社長や役員レベルの方は、BIMソフトを使って仕事をしたことはありません。もしかしらたら、見たこともないかもしれません。従って、BIMソフトやプロセスではなく、いくら投資したらいくら回収できるかとか、その取り組み自体の業界の評価なんてものに関心を持ちます。つまりBIMをやるように指示を出してはいるのですが、BIMがどのような仕事なのかわかっていないので、その内容まで理解することはありません。
実際に設計や施工の業務についている社員の方たちのBIMのカタチなのですが、本当は多くの方はBIMソフトを使うことができない状態です。BIMの仕事でも、実際にはこれまでと同じ2次元CADで作業を行い、その図面で協力会社にBIMモデルなるものを作ってもらっています。現状問題なく処理できているという仕事を変えることは、現状の忙しい仕事の中ではできないし、したくないというのが本音の方が多いと思います。従って、BIMの仕事でも、できるだけ自分の仕事を変えないで済むように、最低限の知識で指示し、後追いのBIMモデルを外注することで済ませているという状態です。こういった方々を指導すべき企業のトップの方々も、BIMで仕事をしたことがないので、そういった問題点に気が付くことができません。
BIMの仕事を受けている協力会社では、2次元CADのデータをもらってBIMのモデルを作っています。しかし実は困っています。なぜなら、依頼している設計者がBIMソフトを使えないので、モデルを作っても、モデルを見てもらえず、2次元図面を出力して、「図面の赤ペンチェック」を受けています。設計者がBIMソフトを使えないということは、どんな軽微な変更でも修正しなければならないため、手離れが悪く、なかなか作業が終わりません。
それぞれのビムノカタチは全く違っていて、まったくかみ合っていないのです。これがしっかり噛み合えば大きな成果を出すことも可能なのかもしれません。だけど、噛み合っていないのでいつまでも成果が出てきません。
アイノカタチのサビの部分もBIMに置き換えてみましょう。
あのね 大好きだよ
BIMが仕事の中で 広がってくたび
愛が溢れ 涙こぼれるんだ
実際には、ビムノカタチがかみ合ってなく、隙間だらけなので、大好きだと言えるひとは少ないでしょう。逆に、BIMの仕事が増えてくると、辛くなると思っている方が多いのでしょうね。
つまり、BIMの仕事がどんどん増えてくると、仕事が溢れてしまい、(しんどくて辛くて)涙が出てくるんじゃないかと思います。
あのね 本音は嫌いなんだよ
BIMが仕事の中で 広がってくたび
仕事が溢れて 涙こぼれるんだ
私は、趣味はBIMですと言えるぐらい、BIMは大好きです。さまざまな問題を抱えている建設業界が、BIMという新しい技術によって次第に変わってゆくことはワクワクすることです。建設業界の産業革命がやっと来たのだと思っています。
だけど、その道が決して楽な道ではないことも知っています。道が険しければ険しいほど、それがなしえる成果も大きいのだと思います。だから、業界全体があるべき「ビムノカタチ」を定めてそれに向かってゆく必要があるのではないかと思います。
ビムノカタチがそれぞれの立場で違うのは、その役割によると思います。BIMの作業を行っている協力会社の人たちは、Revitの操作方法を覚えて、少しでも効率的に作業を行いたいと思っています。この立場では、プロセスを変えるという意見を言う事も出来ないので、プロセス自体を変えようとは思わないでしょう。
設計や施工の作業を行っている方たちは、BIMのモデル自体が、正しい建物のカタチや情報を示せるとは思っていません。図面を作成するためのツールとして考えています。これは、企業としてBIMの作業が、何が正しいのかと定義されているわけではないので、担当者がそれぞれに解釈をしても仕方ないことだと思います。
私は、こういった状態に対し嫌味を言っているつもりはありません。でも、BIMをやらなければならないのであれば、ちゃんと自分の役に立つツールにするために、どう使えばいいのか、ちゃんと向き合って、考えてほしいと思うのです。忙しいから、効率が悪いから、情報を価値にするためにBIMを使うのだと思います。それぞれの立場と役割で、BIMが役に立つものでなければ、BIMをやらないという選択もあるのではないかと思うのです。
皆様の「ビムノカタチ」はどのようなものでしょうか?
情報(Informationのアイ=愛)が溢れるぐらいのBIMであるなら、日本の建設業界の将来も安泰ですね。