空調換気解析は、主に建物内部の気流に関する問題の解決を目指します。 空調(Air Conditioning)と換気(Ventilation)の二つの解析に大別されますが、これらが複合しているケースもあります。 共通する特徴として熱の関係する問題が多い事が挙げられますが、いずれも多くの解析実績を誇っています。 温度成層の再現や温度差のある吹出し気流、温度差が駆動力となる換気現象などは、弊社ソフトウェア「WindPerfect」が最も得意としている事です。
空調換気問題は、複数の吹出し・吸込み条件や、人体・照明・機器の発熱や壁貫流や日射の影響など、 実に多くの設定の下で解かれるものであり、その複雑さ・多様さは際限がありません。 また、熱伝導や物質移動など多くの物理が関連するマルチフィジックス系の問題もこの範疇です。 例えば、躯体の熱伝導と対流熱伝達を連成させた倉庫の結露問題を解こうとすると、CFD本来のNavier-Stokes式・連続の式・乱流モデルに加えて、エネルギー方程式、湿分の移流拡散方程式、熱伝導方程式、輻射方程式などを同時に解く必要があります。
私どもの解析事例を次のように分類しました。 この中にあなたにとって役に立つものがあるかも知れません。
・暑熱環境解析・・・・・・・冶金系製造工場、機械系製造工場、化学系製造工場。電気電子系製造工場など
・通風解析・・・・・・・・・オフィス、住戸、校舎、倉庫、工場
・通常の空調換気解析・・・・第1種・2種・3種換気、駐車場、各種倉庫、実験室、研究施設
・移流拡散解析・・・・・・・コロナ飛沫核拡散、燃焼炉・反応炉の炉口からの粉塵拡散
・輻射解析・・・・・・・・・各種加熱炉からの輻射熱伝達、暖房器具からの輻射
・結露・結氷解析・・・・・・冷房機器周りの結露、冷蔵庫・常温倉庫の結露、冷凍倉庫の結氷
・熱伝導連成解析・・・・・・壁体・床材・天井材内等の内部温度分布、熱橋(ヒートブリッジ)問題
・冷温感指標(PMV/SET*)解析・・・住戸・居室・大空間(体育館・プール等)の快適性評価
・SVE換気効率指標(空気齢/空気余命)解析・・・換気効果の評価・比較、吹出し・吸込み位置の最適化
・非定常解析・・・・・・・・空調の立ち上がり、風量変更・吹出し温度変更の評価
・火災解析・・・・・・・・・煙流動解析 オフィス、階段室、トンネル、地下鉄駅舎
・特殊空調・・・データセンター、クリーンルーム、塗装ブース、アンダーフロア、置換空調、
タスクアンビエント
【温度差換気解析事例】
清掃工場の |
吹き抜けのあるビルの温度差換気 |
化学系工場のトップライト開口 |
横胴縁のある家屋の |
吹き抜けのある庁舎の |
外気供給のある事務所ビルの |
外部の風が窓やシャッターなどの建物開口に当たった際、その面風圧により建物内に進入します。 外部の風で押し込まれる事によって起こる換気現象で、温度差とは関係なく発生します。 風速が速いほど換気風量が大きくなります。 剥離渦による負圧で内部の空気が吸い出される場合もあります。 風量は開口部の圧力損失に支配されるので、RANS系乱流モデルは使えません。 LESやDNSを用いる必要があります。 また開口部でまとまった格子数を取る事が必須です。
【通風解析事例】
一般に空間の給気・排気が機械か成り行きかの組み合わせで、換気の種類が決まります。 例えば、給気も排気も機械の場合は1種換気となります。 2種・3種は給気か排気のいずれかが機械の場合です。 給気も排気も成り行きの場合は4種換気となるはずですが、そうは呼びません。 自然換気だと何の事を言っているか分からないので、温度差換気と通風換気の2つに分けて呼称する事が多くなりました。 弊社は様々な種類の換気解析に長けており、多くの実績があります。
【通常の空調換気事例】
【移流拡散解析事例】
コロナ禍は社会に大きな衝撃を与え、社会構造が激変しました。 我々の業態でも在宅ワークやWeb会議が普通になりました。 三密の回避や、換気回数の確保が一般的になりました。 CFD解析ではコロナ飛沫核の拡散挙動を扱う事が出来ます。 咳や呼気などのコロナウイルスを含む飛沫は急速に乾燥し、ウイルスと繊維・塵埃で成る飛沫核になります。 大きさは直径約0.3ミクロンで、空気中を長時間舞い続けます。 この挙動を把握する事が様々な対策に直接繋がります。
【コロナ飛沫核拡散解析事例】
【輻射解析事例】
加熱面からの輻射熱伝達 |
暖房器具からの輻射熱伝達 |
某工場内の輻射熱伝達 |
某集合住宅群輻射熱伝達 |
露点以下であれば、空気中の湿分は凝縮し水の形となって凝結します。 但し露点以下と言うのは必要条件であって、十分条件ではありません。 精度の高い結露判定には、露点以下の温度である事以外に、湿分がその場所に連続して流れて来られる事、その場所が水の蒸発潜熱分に相当する分だけ昇温せずに、十分冷却され続ける事が必要です。 これら条件が満たされた時、結露が発生したと判定されます。 このため、飽和蒸気圧を精度良く求める事も重要です。
【結露・結氷解析事例】
【熱伝導連成解析事例】
冷凍倉庫躯体の熱伝導連成結露解析 |
躯体熱伝導を考慮した空調解析 |
内断熱時の躯体熱伝導解析 |
免振機構加熱試験時の温度推移解析 |
PMV/SET*は、空間内に居住する人について、快・不快を判定する指標です。 それぞれロジックは若干異なりますが、風速・気温・湿度・輻射温度・代謝量・Clo値によって算出される指標です。 気流や温度だけではその空間が快適か不快かを判断しにくいものですがPMV/SET*はそれを数値で明確に示す事が出来ます。 近年では施主様や官公庁サイドでも有用性が広く認知されて来ており、その適用機会が大幅にアップしています。 弊社のPMV/SET*はポイントではなく分布で表示されるのも分かりやすいところです。
【冷温感指標(PMV/SET*)解析事例】
【SVE換気効率指標(空気齢/空気余命)解析事例】
初期風速・温度から出発して、設定した境界条件下でたどり着く状態を求めるのが、一般に定常解析(Steady Analysis)と呼ばれます。 それに対して、定常状態にたどり着く過程や、吹出し速度・温度や風量を変化させた際の過程を時間変化で求める事を非定常解析(Unsteady Analysis)と呼びます。 流体の詳細な挙動を調べるためには、非常に有効な解析手法です。 吹出し.・吸込みの有効範囲や、塵埃の拡散挙動を評価する際にも大変重要です。
【非定常解析事例】
【火災解析事例】
データセンター・サーバールームは、床下・ラック・エアガラリ・局所空調など複雑に機器が組み合わさった空調システムを採用しています。 ブレードサーバーを熱暴走させないような配慮の行き届いた設計が求められています。 クリーンルーム解析は古くて新しい問題です。 大きく分けて電子系とバイオ系の2つのタイプのクリーンルームがありますが、FFUからの微速下降流に対して、床上の装置からの熱上昇流が卓越した場合、室内に上下の渦が発生してクリーン度を大きく下げる結果となります。 塗装ブースは恐らく換気回数の最も大きい施設です。 1時間に100回換気は珍しくありません。 換気回数が大きいと言う事は、多量の空気を必要とし均一な温度制御・湿度制御も困難です。 高速の渦が製品に悪影響を及ぼす事もあります。 他にも置換空調、タスクアンビエント空調、デシカント空調など、様々な特殊な空調形式がありますが、弊社は有効なソリューションを提供する事が出来ます。
【特殊空間解析事例】
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